広く様々な仕事においては、正社員とフリーランスでは職務において果たす役割は違ってくるとされる。一般的には、フリーランスに実働的な役割を、正社員は業務の主幹となる役割を担わせるといったイメージだが、こういった図式はIT業界においてもおおよそ支配的である。
しかし他方で、この図式にとらわれない、正社員とフリーランスの役割上の境界が曖昧な企業も近年増加傾向にある。即ち、フリーランスに業務における主幹的な役割を担わせているのである。これは、ITにおいてアウトソーシングが進められたことで、様々な業務が外注に出されるようになった点に由来している。業務の効率化により、業務をこなす際に必要な一定のノウハウを有していなくとも業務の主幹業務をこなせるようになったことで、より質の高い業務が行える優秀なフリーランスと契約して仕事をしてもらおうという気運が高まってきているのである。
その背景には、人材活用のダイバーシティ化がある。IT業界においては、管理スキルを持った管理職が育ちにくいとされる。従って、どのような企業においても管理職としての人材は不足している傾向にある。業務の根幹を担う管理職を増やすためには、正社員やフリーランスといった区別を問わず人材を求める必要があり、その多様化はIT業界において顕著である。
結果、特に業務の管理部門においては正社員とフリーランスの役割の垣根が曖昧となり、IT業界が他業種よりも人材供給面において流動的な側面を獲得できたのである。